固形石けんと液体せっけん、同じ石鹸ですが、実は全く違うもの。何がどう違うのか、解説していきたいと思います。

◎ ナトリウム石鹸は固形、カリウム石鹸は液体
固形石鹸と液体石鹸は全く違う物質です。
石鹸の原料油脂を鹸化して石鹸を作る時、水酸化ナトリウムを使うと脂肪酸ナトリウム(固体)になります。

水酸化カリウムを使うと脂肪酸カリウム(液体)になります。

どちらも石鹸には違いありませんが、物質としては全く別物です。なので、固形石けんを溶かしても液体せっけんにはなりません。
◎ 肌に優しいのはどっち?
固形石鹸(脂肪酸ナトリウム)も液体石鹸(脂肪酸カリウム)も肌への刺激性はそれほど高くありません。
使う人の肌質や、石鹸の原料油脂や配合成分によっても使用感は大きく変わるので、固形か液体かという比較は難しいでしょう。
◎ 洗浄力が高いのはどっち?
固形石けん(脂肪酸ナトリウム)のほうが優れていると言えます。水分が少なく、純石鹸分の割合が多い為です。

・液体石鹸の純石鹸分は30%
液体石鹸は純石鹸分(脂肪酸カリウム)の割合が製品全体の30%程度。残りはほぼ水です。石鹸分が少ないのでその分洗浄力も落ちるという理屈です。
・液体石鹸にはアルカリ助剤が入れられない
例えば洗濯用粉石鹸には炭酸ソーダ(炭酸塩)などアルカリ助剤が配合されていて石鹸の洗浄力を助けます。(粉石鹸は固形石鹸を砕いて作ります)
一方、洗濯用液体石鹸の殆どはアルカリ助剤が配合されていません。液体石鹸にアルカリ剤を入れると固まってしまう為です。このような差異も洗浄力の差に繋がります。
◎ 使いやすいのはどっち?
溶かす手間が少ない分、液体石鹸のほうが扱い易いと感じられる事が多いようです。

◎ コスパがいいのはどっち?
先に述べたように、液体石鹸は製品重量の30%位しか石鹸分がありません。残りはほぼ水です。一方、固形石鹸は純石鹸分が90%以上を占める製品が殆どです。
従って、同じ重さと価格であれば、固形石鹸を買う方が沢山の石鹸分を得られます。
◎ 省資源で環境負荷が低いのはどっち?

これは固形石鹸に軍配が上がります。
固形石鹸は、そのほとんどが紙やプラスチックで軽く包まれているだけ。ゴミの量は多くありません。また、輸送時の重量も水分が含まれていない分、軽く容器素材も少ないです。
一方液体石鹸には容器が必要です。また、水が多いので重く、そしてプラボトルが必須。廃棄もリサイクルも負担が大きく、容器ごと次々と買い換えればゴミが増えてしまいます。
液体石鹸を使う場合はできるだけ詰め替え用を使いたいですね。